「聖唱」(冊子“Graceful Vibes”より)
6月8日(June 8)、エチオピア歴2016年サネ (ሰኔ)が始まります。このブログでは、エチオピア歴での新しい月の初日に、エチオピア歴のカレンダーと共に記事を投稿しております。(投稿が二日遅れまして、申し訳ございません。)
今回の記事を担当するのは、Ethiopia Coffee Directの関西支部として活動しております、大石と申します。
私は2023年初頭、エチオピアのシダマ州・ボナズリアを訪問して参りました。9日間という短い期間ではありましたが、たくさんの刺激に溢れる、忘れられない経験となりました。
今回の記事は、そのエチオピア訪問を記録した冊子「Graceful Vibes」からの引用と致します。
「聖唱」
Heleph Coffeeの本拠地ボナズリアは、緑豊かな田舎の村です。僕たちは首都アディスアベバから車で2日かけて到着しました。
精製所に着くやいなや、こちらをそわそわと気にするような歓迎のムードが流れました。皆で輪になって集まると、社長のツェガブが、精製所のスタッフに僕らを紹介します。これからよろしくとお辞儀すると、皆照れくさそうに会釈を返してくれました。そして、ある女性が歌を歌い始めます。その民謡は、瞬く間に伝播して大合唱になりました。それは労働歌・讃美歌にアフリカンビートが合わさったようなパワフルな聖唱でした。僕は圧倒されました。その力強いグルーブに身体を揺らしていると、それを見た皆には笑顔が綻び、歌声のギアはさらに上がります。僕は負けてたまるかと、輪の中心に出て、全身で踊りました。歓声が上がり、最高潮に上がったボルテージの中で、僕は我を忘れて跳ねました。
そこに、「コーヒー農園」はありません。家の裏山に生えているコーヒーノキから収穫された実が、「精製所」へ集荷されます。精製所に運ばれたコーヒーの実は、太陽と手と風と歌に守られながら、ゆっくりと乾かされます。その工程の全てが真正で、尊いものでした。
以上、生産現場訪問を記録した「聖唱」の章の引用でした。今後も数回にわたって、「Graceful Vibes」より記事の掲載をして参りますので、どうぞお楽しみに!